大日本茶道学会 - 公益財団法人三徳庵

令和6年12月:多様性

 多様性(ダイバーシティ)という言葉を良く耳にします。

ダイバーシティは、「ジェンダー、人種・民族、年齢における違いのことと指す」という規定を雇用の機会均等を目指す文脈で与えられていました。現在は、障害の有無等も含めて意味が拡大しているように思います。

ダイバーシティ・マネジメントとなると「女性活躍」、「働き方改革」も含まれてくるようです。いずれにせよダイバーシティを尊重することが大切だという風に、盛んに訴えられているわけです。

禁令が出されたという史料から、そのことが禁止されなければならない程世の中に広がっていたという風に解釈する歴史解釈の手法を逆手にとれば、盛んに奨励されることは、まだ行き渡っていない証拠だという穿った見方もできるでしょう。

 「違った他者を受け入れなさい」、といきなり言われても抵抗があるのは、致し方のないことです。まずは、他人ではなく、自分自身に目を向けてみたらどうでしょうか?

 私は、自分の中に多様性があるように感じています。あなたは、AB型だから二重人格でしょうと言われそうですが、多重人格とは違います。自分の役割を取り出してみれば、企業では会社員であり、妻にとっては夫、子供にとっては父親、他人にとっては友人、恋人、ライバル、敵、と様々な役割を演じています。また、ある日の気分を取り出してみれば、様々なその日の気分の自分が姿を現してきます。

まずは、自分の中に、多様な側面が存在することを確認することが、「多様性」を受け入れる出発点になってくるのではないでしょうか。

 あるときは亭主、あるときは客(それも、正客から詰客まで様々)になることを当たり前として受け入れている茶人には、わざわざいうまでもないことかも知れませんが。

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