大日本茶道学会 - 公益財団法人三徳庵

【茶道コラム】第47回「たとえ存じ上げない方とでも」

4月には薬師寺の東塔の落慶という大きな行事に参加してきました。
朝から、法被を着た薬師寺の方々が広い境内の隅々まで、綺麗に掃き清めることから                                                          参拝者を迎える用意をしておられました。私たちも、早くから準備をしに伺っておりますと、                                             すれ違う方だれもが「おはようございます」と声をかけ、挨拶をしてくださいます。
「おはようございます」と答える心の中が、透き通るように気持ちが晴れていく感じが                                                                     してきます。少し前までは、家の周りを散歩する時もこのような声の掛け合いがあったように                                                          思い出されたからです。

開門が近づき、参拝者が多くお越しになられると、今度は僧侶方が自ら境内のあちこちに立たれ、                                                                    遠方からいらした方を迎えられています。
一日約2000人、 5日間の行事と通常の参拝の人を合わせると、本当に多くの方々です。                                                                     声をかけられる方の中で知っている方は、ほんの数割とのことですが、まるで、親しい友人と                                                                   再会を果たしたように、にこやかに迎えられる僧侶の方々の姿に、ふと我を振り返りました。

茶人の行事と言えば茶会です。迎え入れるところから、お見送りまで、いらしてくださった方々に                                                                  笑顔を届けられているのでしょうか。
茶席でも分け隔てなく、声をかけて迎え入れているでしょうか。つい顔見知りのかたとだけに                                                                    挨拶をしてしまったり、知らない方には、どなたかしら?と声をかけるのも少し躊躇していないでしょうか。

日常が戻ってきた今、茶会もこれから盛んに行われることでしょう。                                                                     対面で出合う機会をそがれてきた私たちが求めているのは、温かく迎え入れてくれる人なのではない                                                                    でしょうか。たとえ存じ上げなくても、すべての方を迎え入れ、受け止める気持ちをもって過ごしたら、                                                                           素晴らしい日を過ごせるように思います。

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