大日本茶道学会

【茶道コラム】第38回「持続可能な関係」を追加しました

世の中ではサスティナブル(SDGs)という言葉をよく聞きます。一見私たちとは関係ないように
思えても、これからどのように長く茶道と関われるか、その時間を長くしたいと考えれば、重要な
ことに感じられます。

稽古を始めたときには、所作をまず覚え、そして点前ごとに正確に扱わなくてはと、一部の緩み
も許されないという気持ちで今まで研鑽を積まれた方も多いでしょう。
 例えればスポーツ選手がプロを目指して、練習に練習を積み励んでいる感じです。常に緊張感
のあるモチベーションを維持していなければなりません。

素晴らしいことだとは思いますが、茶道との関りは点前をする人ひとりだけではおさまらないので、
もっと広い目を養わなくてはなりません。どんな方をもてなすのか。その方との関係は親しいのか、
それともはじめての方なのか。それだけでも、どのような時間を過ごしながら茶を点てていくか
工夫しなくてはいけません。招いた際に、相手には十分な時間のゆとりがおありなのか、それとも、
忙しい中、わざわざ時間を割いてお越しいただいたのか。相手に合わせた時間の使い方というもの
も考える必要があるでしょう。

それに道具との関係も考えましょう。取り合わせ上いろいろな道具を用いたら、小さな道具は
大きく見えるように、軽いものは重さを感じるようにとその道具が活きるように扱いたいものです。
 
 長く研鑽を積まれた方は、少し茶道との向き合い方を変えてもいいのではないでしょうか。その
空間と時間を客と一緒に、道具と一緒に楽しむことを目標にしてみてはいかがでしょう。思い通り
にピタッと手がかからなければ、かからなかったことに気が付いて、ゆっくり取り上げる余裕を。
何目に置かなくてはと思っていたものを、少しずれたかなと気づけるゆとりを。

大きく長く深呼吸をしながら、点前座に座っていると、力が抜けて道具を扱っていたいという気持ち
になるのではないでしょうか。そんな気持ちの方が仙樵居士の仰る茶道人なのかとも思っています。

            教場長 田中 仙融 (令和3年8月発行 会報「えんじゅ108号」掲載)

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