大日本茶道学会 - 公益財団法人三徳庵

令和8年6月:身体と相互作用

人工知能の分野では、「物理的な身体があることによって、環境との相互作用ができる」ことに注目して、「身体性」という言葉を使っています。

環境との相互作用とは、ルンバなどのロボット掃除機が、家具や壁などの障害物にぶつかると方向を変えることです。自分の行動に対する周囲の反応を感じとって、自分の行動を変えられることと言い換えれば、それが「知能」だと言われても納得いただけるのではないでしょうか。

茶を点てる場合も、茶筅を動かしたことで、茶碗の中の茶がどれだけ変化したかという反応を、茶筅を持つ手先からも感じとることが大切です。

「定められた通りに手は動かしているのに上手くいかない」と感じるかも知れません。しかし、ロボット掃除機も、掃除するルートをあらかじめ指定しておくというやり方では上手くいかずに、センサーからの反応で動きを変えることで、実用化することができました。

 相手の反応に自分を変化させることが、「相互作用」です。

「技」も、自分がどう動くかだけでは完結せずに、こちらのアクションに対する反応に応じて対応してはじめて結果が出ることを考えると、「相互作用」をきちんと受け止めているかが、「知能」や「技」の本質と言えそうです。また、「知能」や「技」が現実世界で実現するためには、認識だけでは不足で、物理的な身体が不可欠だということになります。

茶席での「相互作用」といえば、お客様と亭主とのやりとりを思い浮かべる方が大半だと思いますが、使う道具から手応えを感じてそれに応じる「相互作用」の有無が、点前の首尾を決めてきます。

「カネワリ、身体、動作、連続、緩急、力、位」の点茶七要の「身体」には、「相互作用」も含まれているのです。

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