大日本茶道学会 - 公益財団法人三徳庵

令和7年7月:デザイン

番組と展覧会が一体となった「DESIGN MUSEUM JAPAN」というプロジェクトがNHKで進行しています。この展覧会には、以前から関心をもっておりましたが、今年の展覧会は、「デザインミュージアムジャパン2025」が日曜美術館の枠内で放映されたこともあり、美術愛好者の中にも関心が広がったのではないでしょうか。

デザインという言葉が気になったのは、『にほんの かたちを 読む事典』(工作舎、2011年)で茶道の項目を担当したとき、「茶道の本質は、残されたかたちにあるのではなく、様々なかたちを生み出していく産出能力に求めることができる」として、茶道のかたちを道具のデザイン、身体の所作のデザイン、時間のデザイン、空間のデザイン、出会いのデザインと区分して論じたからです。

デザインについて広い見方をするようになったのは、原研哉氏が『デザインのデザイン』(岩波書店)の中で「ものの見方や感じ方は無数にある。その無数の見方や感じ方を日常のものやコミュニケーションに意図的に向けていくことがデザインである」と定義しているのに勇気づけられたからです。

その立場からすれば、なぜ茶道がデザインとして取り上げられないのかという不満を抱いたこともあります。しかし、今回、8人のクリエイターが全国8地域で調査した日本各地の〈デザインの宝物〉が、文字フォント、魔法瓶、瓦、さらにはスナックの看板から選ばれているのを見て、大切なのは私たちが身近なものに「デザイン」を見つける目を持つことだと強く感じました。

茶道には「美意識」という言葉ではカバーしきれない部分にも、先人の気遣いが反映されていることを、「デザイン」という言葉ですくい取って価値を自覚することが何よりも大切です。

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